LEDの世界にそろそろ赤外のご登場では? ――その③ 赤外蛍光体の種類と既知の分光応用[フルスペクトル LED/カスタマイズ LED/LED特注]

Cr 3+ドープ近赤外無機蛍光体ホストの種類

一部報道された科学論文の概要から見ると、蛍光体材料における近赤外光の発光中心としては、希土類元素(Pr 3+、Nd 3+、Tm 3+、Eu 2+など)、又は遷移金属元素(Cr 3+、Ni 2+、V 2+、Mn 4+など)が使えます。 これらのNIR蛍光体のうち、遷移元素Cr 3+はより高い効率を示しており、青色LEDチップとの相性が一番よいです。 Cr 3+ドープ材料は、過去数十年間に亘ってレーザおよび持続ルミネセンス用途のために科学界によく研究されています。 近赤外光用の蛍光体ホストシステムは、図2に示すように5つのタイプに分類されます。

図2. Cr 3+ドープ近赤外光用の蛍光体ホストシステムの種類。

 

  • 亜鉛 – ガロゲルマネート系

MGa 2 O 4(M = Zn、Mg)のスピネル結晶構造は、アンチサイト欠陥やCr 3+遷移元素ドーピングによるO空孔が発生する可能性があるため、持続的ルミネセンスの研究が焦点になります。発光帯域幅が広いですが(650〜770 nm)、アンチサイト欠陥の存在は蛍光性能を低下させ、スピン禁制遷移のみによる減衰時間を増加させる可能性があるので、赤外分光法のアプリケーションに影響を与えます。

 

  • ガロゲルマニウム酸カルシウム系

Caガロゲルマネート系は、広帯域近赤外分光用途のためのもう一つのホストシステムです。これは、選択設計原理と化学組成が、Zn−ガロゲルマネート系のものとほぼ同様になります。しかし、CaはZnの代わりにホストシステムに存在しています。ほとんどのCa-ガロゲルマネート化合物は、ホストに大きな2価の陽イオンが存在するため、d3 Tanabe-Sugano図の弱い結晶場領域にあります。このため、Caガロゲルマネート化合物中のCr 3+は、スピン許容遷移に追従し、そして同調可能な広帯域発光スペクトルをもたらします。

 

  • ガーネットタイプ系

化学式がA3B5O12(A = Y、Gd、La、Lu、B = Al、Ga)のガーネットタイプ結晶構造は、B3 +サイトでのCr3 +ドーピングの研究によくけんとうされています。主に残留ルミネセンスの研究の焦点になります。ガーネットタイプの持続性発光蛍光体は、700 nmを中心とした650〜800 nmの範囲で均一な単一広帯域近赤外発光を示します。広帯域近赤外分光法の用途には極めて狭いですが、これは、Znガレート系およびZnガロゲルマネート系の発光帯域とは対照的になります。

硬い結晶構造は、ガーネットファミリーにイオンを放出するためのホスト材料として役立つ良い選択になります。例えば、Y 3 Al 5 O 12:Ceは、高い量子効率と白色光pc-LED用の小さな熱消光を有する優れた黄色蛍光体です。また、利用可能な八面体部位が一つしかないことにもかかわらず、Y 3 Al 5 O 12:Ceは、依然としてCr 3+活性化宿主候補の良い選択になります。

 

  • La-gallogermanate系

Laガロゲルマネート系もまた、共ドーパントや増感剤として使えるが、Cr 3+および希土類元素をドープすることによっての持続的発光能力についての研究も続いています。 Cr 3+ドープLaGaO 3単結晶の発光スペクトルは、739nmと729nmの2つところでいくつかの細い線が見えます。 Laガロゲルマネート系は、蛍光特性についての優れた潜在的候補であり得るが、燐光に劣っていることも事実です。

 

  • ホウ酸塩系

ホウ酸塩ベースのホストシステムは、最近でも広帯域近赤外分光法の用途に焦点を合わせています。ホウ酸塩ベースのホストシステムは、LED半導体に必要とされる主な重要なパラメータの1つである熱消光挙動をほとんど持っていない他、ホスト内のGeおよび希土類元素などの高価な出発前駆体を排除しました。実用の面から考慮すると、それは、ホウ酸塩系のもう一つの利点になります。

 

広帯域近赤外蛍光体の既知の分光応用

近赤外分光計は、農業、製薬、食品産業、および非侵襲的健康監視など、さまざまな用途で近赤外分光機能を実行するために近赤外光を使用する非破壊分析特性を評価できるツールです。

また、NIR pc-LEDは、半導体チップ型と比較しては、独特な特長があります。それは、広帯域の発光スペクトルとスペク​​トルの調整が可能になります。したがって、NIR pc-LEDは、NIR分光法の日常生活へのアプローチを加速するために開発し続けています。さらに重要なのは、半導体チップの代わりとして、豊富なNIR発光イオンの多彩な選択を可能にする蛍光体を使用することで、波長指定が必要とする特別な用途向けに、様々なNIR pc-LEDが設計されます。

 

YUJILEDSは、超高演色やフルスペクトルを持つLED製品だけではなく、独自開発した赤外(NIR)蛍光体(710nm、810nm)でも提供しております。また、紫外や赤外が含まれるLEDの特注サビースを承っております。

ご興味のある方は、ぜひ下記リンクよりご覧ください。

赤外(NIR)蛍光体:  https://unipole.co.jp/business/b2442.html

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