演色性と発光効率が、光合成有効光子効率にも影響?――その②

植物を育成するために高演色LEDが欲しいとの顧客からのコメントに、え?と思う方は多くいるでしょう。なぜ人間の視覚に適したカラーレンダリングされたLEDが植物の成長にも望ましいのか、疑問になりますね。

この疑問を答えるために、様々な関連実験と計算を行いました。冒頭のコメントの真の理由が何か、それを分析し、判明しましょう。

2.関連実験

なるべく公平な比較を行いたいため、実験の条件は以下に基づき、可能な限り同じにしました。

  • 4000K CCTの白色光スペクトル

CRIの数値には、光が白ではないと意味がありません。ここで、園芸照明で最も頻繁に使用されるCCTの1つである4000Kの白色光を実験オブジェクトとして選択します。

  • LEDダイ、蛍光体、パッケージ

ダイとパッケージは同じようにキープするが(パッケージ2835)、CRIの調整が必要になるので、蛍光体の組み合わせが異なります。もちろん、CRIの調整によって、スペクトルの波長でも変わります。

  • 測定条件

積分球と分光計を統合した工業標準と標準校正手順に従い、また、測定誤差を回避するために、測定条件を一定に設定して実施します。

  • スペクトルとCRI値の設定

前述のように、CRIの改善は本質的に長波長(600-650nm)でのスペクトルパワー分布を改善することであり、スペクトルレベルでの発光効率の改善は、感度におけるスペクトルパワー分布を可能な限り調整することです。したがって、異なるスペクトル設計に基づく以下の実験では、CRIと発光効率のトレードオフ関係が重要と見なされます。

上記すべての前提条件に従い、Ra 95 +、Ra 90 +、Ra 85 +、Ra 80+の4つの異なるCRIで比較実験を実施しました。ここで、バイアス効果を避けるために10個のサンプルから平均結果を選択しますので、実験の変数データは図6のように示しています。

図6.同じ条件に基づく4000Kでの異なるCRIの平均測定データ。

実際の結果は理論と一致していると思われます。CRIの改善により、光束と効率が徐々に低下しています。

図7(a)では、同じ座標軸で正規化された4つのスペクトルが比較されています。Raを大きくすると、赤色スペクトルのピーク波長が右にシフトすることがわかります。

図7(b)では、Ra80とRa95の絶対放射照度が同じ座標軸で比較されています。明らかに、Ra80の青色ピークの放射照度はRa95よりも強いです。これは、赤色蛍光体のより長い波長が、青色チップまたは青色チップによって励起される蛍光体からより多くのエネルギーを吸収したためです。したがって、スペクトルからのエネルギーはより均等に分散されます。

図7.異なるCRIでのスペクトル比較。

植物の視感が人間と異なるので、園芸照明の性能を評価するパラメータとしては、光束が不適切です。よく使われているのは、PPFとPPEです。とのことは、広く認識されていますので、ここで、アルゴリズムに従って、変換されたPPFおよびPPEも図6のように示されています。

奇妙なことに、Ra 80からRa 95まで、発光効率は明らかに異なりますが、PPFとPPEは同じです(測定中の機器誤差を無視)。とのことで、CRIと発光効率はPPFとPPEに影響していないかと思われます。その理由は後述します。

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