HFCs(代替フロン)とは?フロン削減目標と規制を解説ー2
HFCs(代替フロン)とは
HFCs(代替フロン)は、CFCやHCFCをはじめとする特定フロンのオゾン層破壊問題が知られるようになって以降、代替品として開発された物質です。
こちらはオゾン層の破壊効果はないため、特定フロンに変わる冷房や冷蔵庫の触媒としてよく利用されるようになりました。
しかしHFCsでも大きな温室効果はあり、地球温暖化係数(GWP)は二酸化炭素の100~10,000倍以上という数値を記録しています。
特定フロンよりは少ないものの、地球温暖化の原因物質としては十分すぎるほどの問題を抱えていると言えるため、本日では冷却にノンフロンを使わない機器が開発され導入が推奨されています。
国内のHFCs(代替フロン)排出量目標と取り組み
HFCs(代替フロン)は上記のように温室効果が極めて高いため、その回収と減少に向けた取り組みが地球温暖化防止に果たす役割は大きくなっています。
日本国内でも以下のような取り組みが始まっています。
日本におけるフロン規制「フロン排出抑制法」
日本では1988年より「オゾン層保護法」、2001年より「フロン回収・破壊法」が発行され、フロンガスの使用量削減・排出抑制が図られてきました。
その流れを強化するべく「フロン回収・破壊法」を改正する形で2015年に施工されたのが「フロン排出抑制法」で、以下のような取り組みを実施することを定めています。
- フロン類の転換、再生利用に よる新規製造量等の削減
- 冷媒転換の促進 (ノンフロン・ 低GWP(※)製品への転換)
- 業務用冷凍空調機器の冷媒適正管理(使用時漏えいの削減)
- 充塡の適正化、回収の義務
- 再生・破壊処理の適正化
この中でも3番目にあたる使用時漏洩の削減においては、漏洩したフロンの量も算出することが義務付けられています。
特に1年間で二酸化炭素1000トン以上に値する温室効果をもたらす量を排出した場合は環境大臣や経済産業大臣により都道府県に公表されることになっています。
フロン類は温室効果が相当に高いため、漏洩した量が1〜10トンというわずかな量でも都道府県の検査立ち入りの対象となる可能性があります。
これに伴うサステナビリティ戦略への影響、企業イメージの低下は計り知れないため、老朽化した冷房や冷蔵・冷凍機器の運用や破棄など関連した業務を進める際には細心の注意を図って進める必要があるといえるでしょう。
※GWP:地球温暖化係数(Global Warming Potential)の略称。二酸化炭素基準でどれだけ地球温暖化に寄与しているかを表している数値。
日本におけるHFCs(代替フロン)排出量目標
世界各国で温室効果ガスの削減目標が発表される中、地球温暖化への影響が大きいHFCsも削減対象としてとらえられるようになりました。
日本でも中期目標として、HFCs排出量を2030年までに2013年比32%削減することをCOP21に先立って表明しています。
また同会議で発行されたパリ協定においては、長期目標として代替フロンについて、2036年までに2013年比率85%削減することを長期低排出戦略に記載しています。
日本は世界的な空調設備や冷凍機のメーカーが立地するため、最先端の低温室効果を持つノンフロン冷媒を開発することも併せて表明しているのも特徴です。
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参考リンク:www.rechroma.co.jp
著者:西家 光一