HFCs(代替フロン)とは?フロン削減目標と規制を解説ー完
海外のHFCs(代替フロン)削減目標と取り組み
HFCs(代替フロン)の抑制は全世界的に進められています。
中でも環境に対しての意識が高いEU(欧州)においては、さまざまな規制が発行されており、加盟国にビジネスを展開する企業にとっては無視できないものとなっています。
以下にその概要をまとめます。
EU(欧州)における代替フロンガス規制
EUでは2006年からフロンガスの漏洩防止・回収に関する規制を定め、2015年より「F-Gas Regulation」として生産などにも対象を広げた改正案を出しています。
近年では2050年までにカーボンニュートラルを目指すサステナビリティ戦略の一環としても重視され、HFCs(代替フロン)を含めたフロン類も対象として規制が進められるようになりました。
2023年には欧州議会にて3~5年以内に低GWPの物も含めてフロンガスの使用を禁止する改正案も提示されています。
上記の規制についてはあまりにも厳しいものであったため、欧州委員会や欧州議会、欧州理事会が妥協案を探しているものの、HFCs(代替フロン)を含めて今後も高いGWPのものから段階的に禁止されていく流れに変更はないため、今後も厳格な規制が出てくることが予想されます。
また「F-Gas Regulation」ではHFCにおけるEU市場への投入量の割当制度も導入されており、生産や輸入に対しても厳しい規則が適用されています。
国によっては削減した量に対する補助金や還付制度といった優遇措置や排出に対する課税なども導入されており、日本や米国、英国などと比べても大きく進んだ取り組みが進められています。
EU(欧州)における冷媒規制
EUではフロン類が使われる冷媒についても規制が定められており、前述した「F-Gas Regulation」で定められた割当制度の基準内にHFCs(代替フロン)が環状されているもの以外は使用できないように定められています。
2020年からはその規制はさらに強化され、GWP 2500以上のものについては冷蔵庫や冷房、ヒートポンプの冷媒装置への使用が禁止されるようになりました。
また新たに製造される冷媒装置においては、アンモニアや二酸化炭素などフロンを使用しないノンフロンのものが推奨されるようになっています。
EU加盟国では規制が大幅に強化された影響で、2015年よりフロン類の使用量は年々減少傾向をたどるようになりました。
規制強化により、今後も使用量の減少傾向は続くと考えられるでしょう。
フロンの需要とHFCs排出の今後の動向
前述通り特定フロンとしてみなされたCFCやHCFCについては、オゾン層の破壊効果が大きな問題となり、現在では大きく需要を減らしています。
日本においては2005年までにHCFC以外のオゾン層破壊硬貨を持つフロンの生産・消費が停止され、HCFCについても2020年までに生産・輸入とも終了しています。
ただモントリオール議定書は機器の使用停止までは求められていないため、今後は残ったHCFC製品を大気中に放出せずに破棄を進めるかが重要になっています。
しかしHFCsについてはCFCやHCFCの代替として利用される中で2000年代以降増加してしまいました。
そのため、現在ではノンフロン製品の普及や冷房の低GWP化により市中ストックを減少していく仕組みが急務となっています。
また発展途上国などの国々は、技術的・経済的な課題により削減が遅れている場合があるため、国際的な協力が求められています。
まとめ
HFCs(代替フロン)は温室効果が非常に高いですが、冷媒装置など決まった用途に使われるためにピンポイントでの対策はしやすく、カーボンニュートラル戦略が世界的に進められているため今後も厳格な規制が予想されます。
日本では政府による漏洩量の公表やEUの投入量割り当て制度など現行のものでもサステナビリティ戦略やブランド戦略に大きな影響を与えるものがあるため、古い冷房装置の廃棄など関連する業務においては十分考慮した上で実行することをおすすめします。
特に日本においては世界シェアの高い冷房・冷蔵装置を提供する企業も多いため、今後登場するフロンや代替フロンの削減技術、ノンフロン装置などにも注目が集まりそうです。
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参考リンク:www.rechroma.co.jp
著者:西家 光一