業界インサイト 2026年6月号 / Vol.4

1.GreenScreen化学品評価ガイドv1.5a更新、「気候影響」指標を新設
Clean Production Action(CPA)は2026年4月、GreenScreen® for Safer Chemicals「化学品危害評価ガイド」のv1.5a版を正式に公開した。今回の改定の核心は「気候影響の透明性(Climate Impact Transparency)」要件の導入にある。
新設された気候影響エンドポイント
v1.5a版では、従来の健康・環境危害エンドポイントに加え、ODP(オゾン破壊係数)とGWP(地球温暖化係数)の2項目が新たに追加された。ただし、この2指標はあくまで「情報開示」を目的としており、既存のBenchmark 1〜4の評価算定ルールおよびList Translatorのマッピングロジックはv1.4から変更されていない。気候指標データが欠如していても、化学品の従来のBenchmark評価には影響しない。
報告書の作成・出典要件についても改定が加えられ、ODP・GWPの両情報を識別したか否か、また参照した規制リストや情報源を評価報告書内に明示することが義務付けられた。
移行期間と施行スケジュール
施行スケジュールルは以下の通りである。2026年12月31日までの移行期間中、GreenScreen Profilersはv1.4またはv1.5aのいずれかを自由に選択して評価を実施できる(個別プロジェクトの規定が優先される場合を除く)。この期間、気候影響エンドポイントの報告は任意とされる。2027年1月1日以降は、新規・更新・改定される全評価報告書においてv1.5aの使用が義務化され、ODP・GWPの気候影響エンドポイントの報告も必須となる。
情報源:https://www.reach24h.com/carbon-neutrality/industry-news/greenscreen-assessment-guide
2.新規HFE合成とGWP予測——次世代浸漬冷却液の分子設計に新知見
次世代水素フルオロエーテル(HFE)系エンジニアリング流体を対象とした新たな研究成果が、Journal of Environmental Chemical Engineering誌に掲載された。
研究グループはエーテル結合を2個導入した新規HFE化合物を設計・合成し、GC(FID検出器)、GC-FI-TOF HRMS、NMRスペクトルにより分子構造を確認した。沸点・蒸気圧・密度・粘度・表面張力・体積電気抵抗率を測定した結果、体積抵抗率が最大10⁴倍まで向上し、沸点と粘度が調整可能であることが示された。
GWP推算にはDFT計算(M06-2X/6-31+G(d,p)レベル)を用い、OHラジカルによる水素引き抜き反応速度論を評価した。推算の結果、HFE-TFPEのGWP₁₀₀は161〜203、HFE-TFTFは260〜295(CO₂比)と見積もられた。エーテル結合の二重導入が、熱物性の向上と低GWP化を同時に達成する有効な分子設計戦略であることが実証された形だ。
情報源:https://doi.org/10.1016/j.jece.2026.122526
3.1234yfの重合反応メカニズムと抑制剤の知見
環境適合型冷媒として広く普及している2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の重合挙動とその抑制に関する研究が、Journal of Fluorine Chemistry誌に掲載された。
研究では、1234yfは標準的な保管・取扱い条件下では安定だが、過酸化物などの汚染物質、とりわけ過剰な不吸収性ガス(NAG)たとえば空気が重合を誘発することが明らかにされた。空気との接触を最小化する適切な取扱い規範の遵守に加え、リモネンとピネンが有効な重合抑制剤として機能し、1234yfのNAGおよび温度安定域を大幅に拡大することが確認された。
情報源:ttps://doi.org/10.1016/j.jfluchem.2026.110545
4.世界空調市場、2032年に2015億ドル規模へ——アジア太平洋が牽引
MarkNtel Advisorsは、2026年から2032年にかけて世界の空調市場がCAGR約5.54%で成長し、2026年の1459億ドルから2032年には2015.9億ドルへ拡大すると予測した。同社は2025年時点の市場規模を1345.1億ドルと推計しており、急速な都市化・気温上昇・住宅インフラ整備・省エネ冷却技術の普及を成長の主な原因」として挙げている。
地域別では、アジア太平洋が2026年時点で世界シェアの約56%を占める見通しで、中国とインドが主要な需要市場として位置付けられている。製品タイプ別では、住宅・小規模商業施設向けのルームエアコンが2026年に市場の約65%を占め、スプリット型がその中核を担う。エンドユーザー別では、住宅部門が2026年に約58%のシェアを占める見込みだ。
メーカー各社はインバーター圧縮機・スマート接続・AI最適化・環境対応冷媒の研究開発に投資を進めている。一方、高エネルギー消費と環境負荷への対応、より厳格なエネルギー効率基準および冷媒規制への適合が、業界にとってのコスト増要因として指摘されている。
以上、著作権侵害にあたる場合は、御連絡をお願いいたします。