「ハイドロフルオロオレフィン」（Hydrofluoroolefin、略称: HFO）は、有機フルオロカーボン化合物の一種です。HFOは通常、炭素、水素、およびフッ素原子から構成されており、二重結合（オレフィン結合）を含んでいます。それで「ハイドロフルオロオレフィン」と呼ばれています。

HFOは特に冷凍機やエアコンの冷媒として広く使用されており、従来の高GWP（地球温暖化係数)のフルオロカーボン化合物（例: ハイドロフルオロカーボンHFCやハイドロクロロフルオロカーボンHCFC）の代替品として注目されています。これは、HFOを使用することで、冷却プロセスに関連する温室効果ガスの排出を削減できるため、環境への貢献が期待されています。

1920年代に炭素、フッ素と塩素だけから成るクロロフルオロカーボン（CFC）が開発されました。

不燃で毒性が殆ど無いものでしたが、CFCに含まれている塩素（Cl）がオゾン層を致命的に破壊してしまうので、南極上空のオゾン層に穴（オゾンホール）ができていることが社会問題となりました。

その後、その代替として登場したのがHCFC族で、CFC族に水素を含ませることでオゾン層を破壊する力は弱くはなっていますが、ゼロではありません。CFC族とHCFC族は「特定フロン」と呼ばれ、その生産は先進国では2020年までに全廃されることになっています。

現時点での冷媒の主流は塩素を含まない、水素、フッ素と炭素の化合物即ち代替フロンと呼ばれるハイドロフルオロカーボン（HFC）です。HFCはオゾン層破壊係数（ODP）がゼロですが、温室効果（GWP：地球温暖化係数）は二酸化炭素の140－11,700倍もあります。

そのため、更なる冷媒転換が求められています。

現在では、HFO（ハイドロフルオロオレフィン）や改めて自然冷媒に注目が集まっています。

以下に、主要なHFO（ハイドロフルオロオレフィン）化合物のリストを表に示します。これらのHFOは低GWP（地球温暖化係数）であるため、冷媒および他の用途に広く使用されています。

HFOは、化学的に安定しており、多くの工業プロセスで使用されています。一般的な用途には、冷却剤、消火剤、ポリマー製造原料、合成化学原料、医薬品原料、農薬原料、および他のさまざまな化学プロセスが含まれます。HFOは、その低い地球温暖化係数（GWP）とオゾン層に与える影響がほとんどないため、環境への負荷が比較的少ないとされています。

HFOの主要な用途には以下のものがあります：

１）冷凍・空調システムの冷媒: HFOは冷蔵庫、エアコン、自動車のエアコンなど、さまざまな冷凍・空調システムの冷媒として広く使用されています。HFOは従来の高GWPの冷媒（例：HFCやHCFC）の代替品として採用され、冷却プロセスにおける地球温暖化ガスの排出を削減します。HFOは低GWPであり、エネルギー効率の向上にも寄与するため、エコフレンドリーな冷媒として注目されています。

２）消火剤: HFOは消火剤としても使用されており、特に電気設備や高電圧機器の火災の鎮火に適しています。HFOを使用した消火剤は非導電性であり、電気機器への損傷を最小限に抑える特徴があります。

３）合成化学原料: HFOは合成化学プロセスにおいて中間体や反応試薬として使用されることがあります。特定の有機合成反応やポリマーの製造において、HFOは化学反応の制御や効率を向上させるために役立つことがあります。

４）農業原料: HFOは農業において農薬や殺虫剤の原料としても使用されています。農薬の製造において、HFOは特定の化学プロセスに適しており、農作物の害虫や病害からの保護に寄与します。

５）医薬品原料: HFOは医薬品の合成および精製プロセスにおいても使用されます。医薬品業界では、高品質な医薬品の生産において特別な要件があるため、HFOはその要件に適した材料として重要です。

これらはHFOの一般的な用途のいくつかですが、HFOは環境への負担が少ないため、さまざまな産業分野で使用が増えつつあります。特に、冷却・空調システムにおける冷媒としてのHFOの使用は、地球温暖化対策とエネルギー効率向上に向けた重要な取り組みの一部となっています。

Follow me!

@UniPo14